第655話 葬式

友人から、高校で仲の良かった友達が亡くなったと連絡があった。葬式は今日らしい


私は急いで準備し、タクシーで教えてもらった場所へ向かう


葬儀場ではなく、自宅らしい。行ってみると、結構大きな家だった


仏間なのだろうか、そこの前に棺桶が置いてあり、その隣の部屋とは障子戸でつながっているだけだったので2部屋続きになっている。60人くらいは入れそうだ


ただ、喪主である友人の母親だけしかおらず、住職などは現れない


喪主が挨拶をして、焼香が行われる。そのときに、娘は無宗教だったので特に何もしないのだと言っていた


そのときは「ああ、無宗教だとそうなんだ」くらいにしか思っていなかったけれど、今であればおかしいと思っている


そして、最後に友人の顔を見ようと思って棺桶に近づいた。すると、喪主が


「娘はひどい事故にあったので顔の復元ができなかった。だからこの棺桶は空です」


と言われた。それはかわいそうだと思い、無宗教とはいえ南無阿弥陀仏と冥福を祈った


しかし、数日後。その友人が生きていることが判明した。逆に、母親が施設に入っていてずっと寝たきりだと言われた


あの葬式は何だったのでしょうか

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