第654話 キノコ
近くに来たので、久しぶりに友人の家へ遊びに行った
「よう、元気か」
玄関に出迎えてくれた友人にそう声をかける
「ああ。狭いけど上がってくれ」
それは比喩なんかではなく、本当に狭くなっていた
大学の頃からルーズなところはあったが、部屋はごみ屋敷の様だった。しかし、生ごみなどは無いのか、臭いは無かった
「いいもの見つけたんだ。これを見つけてから運がものすごくよくなったんだ」
そう言って、見たことのないキノコを見せてきた。そして、そのまま生で食い始めた
「これを食ってから、宝くじは当たるわ宝石は手に入るわ、資格だって山ほどとったぞ」
そう言ってゴミ袋を見せてきた。次に、どこで拾ったのかなんの変哲もない小石を見せてきて、最後は紙の束を見せてきた
「これがどうしたんだ?」
「すごいだろ? これ全部キノコのおかげなんだぜ」
意味が分からない。もしかしたら、幻覚でも見ているんじゃないか。そう思ってキノコを取り上げようとしたとき
「これに触るんじゃねえ! 出ていけ!」
そいつは驚くくらいに豹変し、俺を追い出した
しばらくして、そいつは餓死したと聞いた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます