第647話 めくれる

私は最近、視線が気になって仕方がありません


私は自分で言うのもなんですが、美人だと思います


大学でも、ミスコンで3位になりました。だから、はじめはストーカーだと思っていました


確か、一番最初に視線を感じたのは、会社の新歓からの帰りだったと思います


先輩たちに酒を勧められ、結構酔っていたので記憶があいまいなのですが、お店からしばらく歩いたところで……その……吐いたんです


まだ自分が飲める量が分からず、勧められるままに飲んだのがダメだったのでしょう


家の近くのポストで視線を感じ、振り向いたけれど誰も居ない。気のせいかと家に入りました


それからしばらくして、毎日見られているような感じを受けたのです


最近では、通勤路だけでなく、会社でも感じるようになりました。しかし、誰も居ないのです


そして今日、とうとう家でも感じるようになってしまいました。それも、決定的瞬間が


一瞬めくれた布団の中と目が合いました。私はあわてて外に逃げました


すると、ポストの受け入れ口にも目が。さらに、瓦がめくれて目が。前を歩いていたワンピースの女性のスカートがめくれた所にも目が


☆  ☆  ☆


医者に行ってきました。慣れない環境(仕事)でストレスがたまっているのでしょうと言われました


でも、仕事は自分が好きな仕事だし、職場の雰囲気もいいです。だけど、ファイルの隙間やドアの隙間からまだ目が見えます


帰り道、見知らぬ……おそらくお寺の住職らしき方から「バチ(罰)があたっておる。謝りに行きなさい」と言われました


心当たりはなかったのですが、もしかしたら私が吐いた場所が悪かったのかもしれません


よくよく思い出すと、鳥居があったような……


さっそく、謝りに行こうと思います

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