第645話 寝言
会社の同僚と民泊をしていた
上司を含めて男女3人ずつで、花火なんかして楽しく過ごしていた
民宿に置いてあった古いカラオケで盛り上がり、12時をすぎた辺りで女性達が自分の部屋へと戻った
俺が居る部屋には、上司と少し年上の同僚がビールで飲みなおしをしていた
俺は眠かったので、上司に断って先に部屋の入口付近で寝ていた
何時か分からないけれど、何か声が聞こえるので目が覚めた。まだ上司と飲み交わしているのだろうか?
しかし、部屋は暗く、誰も居ない
「えっ、誰も居ない?!」
もしかして、女子部屋で飲んでいるのか? それなら俺も行きたいと、女子の部屋へと向かう
女子の部屋は、角を曲がった場所にあり、少し離れている
部屋を出て女子の部屋のドアノブをひねる
ガチャン
「あれ?」
てっきりみんな居るのかと思ったら鍵がかかっている。ドアの前で耳をすませても、誰かが起きている様子はない
変だなと思いつつ、部屋に戻る。すると、上司と同僚の二人が普通に寝ていた。さっきは確かに居なかったはずなのに
寝ぼけていたのかな、と布団に入ったところ、ぶつぶつと話し声が聞こえた
反対側に寝転がってみると、同僚の口が動いていた
目が暗闇に慣れたのか、その向こうに寝ている上司の口元も動いているのが分かった
同僚の寝言に対して上司が返事をする。上司の寝言に対して同僚が相槌を打つ。実は起きているんじゃないのか? というような感じだったけれど、確かに寝ている
起きたらこの話をしてからかってやろう。そう思って笑みを浮かべて布団をかぶる
チーン
どこからか、金目のものを叩いた音がした
その瞬間、上司の口から「チーン」と言う声が。それに合わせて同僚も「チーン」と言う
それも、人間の声とも思えない機械のような声で
俺は金縛りにあったように動けなくなっていた。そして、気が付くと朝になっていた
この話を2人にしても
「寝ぼけていたんじゃないか?」
と言われた。けれど、女子たちは
「夜中に、急に部屋のドアノブがガチャンっていってびっくりしたよ!」
と言っていたので、夢じゃないと思う
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