第642話 運の悪い女子高生

こんにちは、山内花林です


今回は、ある場所で体験した話です


私は、そこへ行くととても嫌な気配を感じました。その気配は、横断歩道の上からします。じっとみていると、黒い塊に見えました


実際、そこの近くには献花されており、過去に事故か何かで亡くなられたのでしょう


ここへはたまたま来ただけなので、普段は来たことがないのでわかりません


結構大きな交差点でしたが、結構歩道すれすれまで車が通ります


そこに、女子高生が通りかかりました。私とは道を挟んで真向かいです


女子高生は、歩道で待つ間、スマホをポケットから取り出していじり始めました


すると、歩道でうろうろしていた黒い塊が、だんだんと人型になっていきました


男性だと、顔が判別できる段階で私は見るのをやめました。霊は、自分が見えると分かる人に寄ってくる事が多いからです


その霊は、横断歩道で待つ人たちをじっと見ていました。そのとき、スマホをいじっていた女子高生が顔を上げました。おそらく、信号が変わっていないか確認したのだと思いますが、それがちょうど霊の方向でした


すると、霊は女子高生に寄っていきます


「見えてるのか?」


ある程度知能のある霊は、悪霊の可能性があります。それが分かっても、私にはどうすることもできません。ただ、女子高生は信号を赤だと確認して、再びスマホに目を向けました


「無視するなよ。見えてるんだろ?」


当然、女子高生は聞こえていないのでスマホを注視しています


「見えてるならこっちを向けよ!」


霊がそう言った瞬間、女子高生は再び信号を確認するために顔を上げてしまったのです


「たすけろたすけろたすけろたすけろ」


霊は女子高生の周りをぐるぐると回り始めました。しかし、再び無視されていると、霊は


「たすけろよ!」


と言いながら、女子高生のカバンを引っ張りました。当然、女子高生はそれにつられるように一歩踏み出してしまいました


その瞬間、大型トラックが横切り女子高生は一瞬で見えなくなりました


ドンッという音と共にキキキーッと急ブレーキを踏む音。歩行者の悲鳴


大型トラックのタイヤの横には、頭のようなものが転がっています


私は、すぐにその場を離れたため、そのあとの事は知りません


ただ、あの場所にとどまっていた場合、運悪くあの霊と目が合ったらと考えると、とどまるという判断はできませんでした

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