第641話 鍵が無い2
白い服の男性は、私を帰す気は無いようで、玄関から動きません。私は、その横を通って帰る勇気もありませんでした
「わ、わかったわよ!」
恐怖をごまかすように、そう怒鳴ると理科室へと向かいました。普段、理科室は鍵がかかっているのですが、なぜか今日は鍵が開いていました
すると、さっきの白い服の男性はすでに理科室の中で待っていて、準備室の方を指さします
ここまで来たら、もう驚きもありません。準備室は危険な薬品などもあるため、必ず鍵がかかっているのですが、やはりというか鍵は開いていました
私は初めて中へ入ったのですが、変なほこりっぽい空気が充満しています。薄暗いのですが、妙に室内がはっきりと見えました
ホルマリン漬けの標本などは無く、地球儀や予備のフラスコ、ビーカー。高級品の顕微鏡などが置かれています
その中で、一つだけ目立つ古いロッカーがありました。私はそれが気になって取っ手に手をかけます
「鍵がかかってる……」
ふと、私がさっき持っていたさびた鍵を差し込みました
「……ちゃんと刺さる」
このロッカーの鍵だったようです。カチャリと鍵を回して開けると、そこには小さな頭蓋骨が入っていました
私はそこで一瞬意識を失い、目を覚ますと職員室の前に立っていました
私は先生に事情を話しました。不思議なことに、部活が終わってからまだ10分も経っていません。体感ではすでに1時間は経過していたはずなのに
先生を連れて理科室へ行くと、当然鍵がかかっています
「見間違えじゃないのか? そもそも入れないだろ」
先生はそう言いましたが、一応確認してくれるようで、中へと入りました。そして、準備室の鍵も開きます
そして、そこには古いロッカーがありました
「こんなもんあったっけ?」
先生は古いロッカーに手をかけると、開きました。鍵はかかっていなかったようです
そして、中にはやはり頭蓋骨が置いてありました
それから警察沙汰になったのですが、詳しくは話すことができません
不思議なことに、私の家の鍵は探したはずのカバンから普通に出てきました
白い服の男性は、あの頭蓋骨を探してほしかったのでしょうか
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