第637話 羽音
今日、お寺の近くを散歩していました
お寺は周りを2mくらいの塀で囲まれていて中は見えません
しかし、塀の上からは背の高いお墓が見えます
私はそこを行きかえりの2回通りました
最初に通りかかったときに、塀の向こうから
ぶぶっ、う゛ぁん
と複数のハエがまとまって飛んでいるような音がしました
そのときは、「なんだ虫か」くらいの気持ちでした
帰り道、同じ場所をもう一度通ったのですが、そのときも虫が飛んでいるような音がしました
「まだいるのか」
と同時に、どんなもんか気になったので、塀の上から覗いてみることにしました
「うぁん、ぶぶっ」
見ると、お墓の前におばあさんがいて、虫の羽音のような音はおばあさんの口から発せられているようです
意外な状況に、しばらく思考停止して見入ってしまいました
すると、急におばあさんがこちらをギュルッと見上げました
そして、わけのわからない事を口走りながら塀の方へと向かってきます
慌てて塀から降り、逃げました
塀の向こうからはまた虫の羽音のような音が聞こえます
その音が、まるで今にも塀を超えてこちらに向かってきそうだったので慌てて逃げました
それ以降、ちょっとした虫の羽音が聞こえるだけでもビクッとします
もしかして、どこかであのおばあさんが見ているのでは
そんな気がして今日は眠れそうにありません
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