第627話 アフリカ旅行で

アフリカへ旅行へ行ったときの事だ


現地の住人に旅行案内をしてもらっていたところ、急にトイレに行きたくなった


しかし、観光地とは言えない場所にはトイレなんてない。幸い、木々はあったので仕方なくその辺で用を足すことにした


「すみません、ちょっとトイレに行ってきます」


通訳にそう告げると、そそくさと木陰に入る


すると、その木の向こう側に現地人らしき人が居た。まさか先客が居るとは思わず、慌てて謝る


「す、すみません」


すると、その男は振り返り向きながら


「あーぁーごえが」


と言った。まったく現地の言葉は分からないので何と言ったのかは分からない


しかし、「どっかいけ」や「覗くな」とかだと困るので離れる方がいいだろうと、その男の顔を伺ったところ


「ひっ!」


その男ののどが抉れていた。のどがつまったのか、再びごぼごぼと聞き取れない言葉を吐いてきたが、意味なんてどうでもいい。私はあわててガイドのところへと戻った


「すみましたか?」


「それどころじゃないんです!」


私は2人を連れてさっきの木陰に向かう。正直、もう会いたくなかったが万が一たんなるけが人だった場合に見捨てるわけにも行かなかったからだ


「あれ?」


すぐに戻ったはずなのに、さっきの男が居ない。見間違えという事もないだろう。なので、その辺を探すことにした


しばらくして、現地のガイドが何か言った


「見つけたようですね」


通訳がそう言ったのでガイドの方へと向かう


すると、さっきみた服装が横たわっているのが見えた


「えっ」


恐怖よりも先に驚きが私の脳を占めた。横たわっていたのは白骨死体だったからだ


ガイドによると、野生動物に襲われたのだろうと。のどの骨が砕かれていたのでそれが致命傷だろうと


この程度の事は日常茶飯事だという事で、警察を呼んだりは無かった


私たちは亡くなった方の冥福を祈った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る