第619話 物がなくなる

こんにちは、山内花林です。


ある、駅で聞いた女子大生達の会話です


休日ではありましたが、駅に居る人はまばらで特に気にもしていなかったのでしょう


2人の女子大生は、それほど声を抑えることなく話していました


「ねえ聞いて。私、この近くのマンションに住んでいるんだけど、最近不思議な事が起こってるらしいの」


「何それ、幽霊的な?」


「どうだろう。でも、知らないうちに家具の配置が変わったり、物がなくなったりするんだって」


「それって空き巣じゃないの?」


「うーん、どうだろ。マンションの周りは花壇に覆われていて、ベランダから侵入しようとしたら絶対に花壇に足跡が付くはずだって」


「じゃあ、マンションの住人の中に……?」


「それもないと思うよ。学生寮だから、みんな県外から来てる人ばっかりだし、それなりにいいマンションだから貧乏なら選ばないと思うし」


「なんだそれは、自慢かね?」


「そ、そんなつもりじゃないよ。あ、あと、無くなるものは本人の思い入れがあるものばかりなんだって」


「そんなのどこでわかんのよ?」


「使い込まれた後っていうのかな? 傷とか色褪せ具合とか、そういうので判断してるのかな?」


話を聞いているうちに電車が来た。そして、女子大生たちはその電車に乗っていったので話はそこまでだった


ただ、その人たちの後ろを黒い帽子をかぶった年配の男性が付いて行っていた


「最近の子は、付喪神も知らないのか」


そう、独り言を言っていた

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