第616話 機械
機械は便利なものだ
我々が休んでいる間もプログラム通りに動いてくれる
「つっても、やっぱり何か問題が起きて理想通りにはいかないんだよな」
例えば、何かの拍子に少しだけラインからずれてしまったり、ペットボトルのようなものが倒れてつまめなかったり、掴んだはずのものが何かのはずみで外れたりしたとき
やはり、人間の手が要るので完全に機械任せという風にはいかなかった
何より、油をさしたりそれを自分で判断したりなど、まだまだできない事は多い
俺が担当しているプレス機なんて、何も入っていなくてもガッチャンガッチャンと動いてるくらいだしな
俺がこうやって材料を放り込んでやっと機械が仕事をする
「お前は自分で材料を放り込むこともできない、潰すしか能が無い機械だもんな」
毎日毎日同じことの繰り返しで、たまには愚痴って気を紛らわす
俺にしても、毎日毎日材料を放り込むだけで、まるで機械のようだ
ってあれ、俺って本当に人間か?
流れてきた材料を、潰すものと潰さないものに分けて潰すものだけを機械に放り込む
あれ? 家に帰った記憶もメシを食った記憶もないぞ?
「なあ、あの機械なんか止まってないか?」
「ああ、最新式の自分で判断する選別機だっけ? 思考時間が長いなら普通の機械の方がましだな」
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