第609話 死角

最近、受験勉強ばかりで精神的に追いやられてきたのか、見えない場所に誰かが居る気がする


廊下の曲がり角、トイレの中、布団の中やタンスの横


当然と言えばいいのかどうかは分からないが、そこを確認しても何もない


俺には霊感もなければ学力もないからなってうるせぇよ


ただ、何かが居る気配だけはする


家の裏や、車の下、塀の向こうや遊具の中などだ


それを霊感があると自称している人を友人に紹介してもらった


受験勉強の息抜きにちょうどいいかもしれないと、見てもらうことになった


そして、その人は来た。見た目は普通のサラリーマンに見えるし、実際サラリーマンらしいが


「……お前、よくこんな場所で生活しているよな」


開口一番、そう言われた


「どういう事?」


「そこたら中に、魑魅魍魎みたいなのがいっぱい居るぞ。俺なら気になって気になって受験勉強どころか住む場所変えてるレベルだ」


「そんなに居たのか……」


俺に見えないだけで、確かにそこに居るらしい事が分かった


とりあえず、実害が無いらしいので集中して勉強しよう


浪人になったらお化けのせいにするか

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