第603話 カタツムリ
カタツムリって知っているか?
まあ、ほとんどの奴が知っているだろうな
じゃあ、これは知っているか?
ある年の春、アパートでの一室で、一人暮らしの奴が病死したそうだ
貧乏だったからか、薬も買えず、それどころか暑さをしのぐために窓の開け閉め程度しかなかったようだ
何が原因かは知らんが、そいつが病死したというのは確かだな。風邪をこじらせたのか、持病があったのか、なにせ誰にも気づかれずに死んだ。それが事実だ
さらにそいつの部屋はいつも生ごみでいっぱいで、腐臭にすら誰も気が付かなかったそうだ
そんな生活も原因の一つなんだろうが、そいつが出歩かなくても誰も不思議に思わない程度のご近所付き合いだったのか、誰も死んだことに気が付かなかった
運悪くなのか、運が良かったのか、国から国民全員に給付金が配布されたので家賃の滞納もなかった
そして、家賃が滞納した月に大家が見に来た時、発見された
それはそれは、無残な姿だったそうだ
大家がしばらく発狂してしまうくらいに
その大家が言っていた。開いた窓から侵入したのだろう、カタツムリが死体に群がっていたと
あいつの口は、なめるように溶かす。だから、死体の顔は骨ごと溶かされて誰かわからないくらいにぐちゃぐちゃだったそうだ
まあ、生きたまま食われるわけじゃないが、それ以来戸締りだけは気にするようになったな
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