第575話 洋館

呪われた洋館がある




昔、はるか昔に吸血鬼が住んでいたと言われている




その割に、洋館自体は古いもののボロいという訳ではない




呪われているというゆえんは、この洋館の所有者は早死にするからだ




それがまるで、血を吸い取られるかのように弱って死んでいくのだ




そこで、売れなくなった洋館を調査する事になった




「ここが問題の洋館か」




調査するのは3人




元警察のOBの探偵と、そこの従業員の女性、そして所有者の3人だ




ウィルスやハウスダストの様なものだと思って調査に来ている




「先生、それらしい空気汚染は観測されません」




従業員の女性は、持ち込んだ機器を調べている。彼女は優秀な研究員なのだろう、テキパキと部屋を調査していった




探偵の方は、所有者の男性と共に怪しい場所が無いか調べている




「おや、ここはどこへ繋がっているのですかな?」




探偵が指さした場所は、床だった




「どこへ……? そんなものは設計図にも無かったはずですが……あとで勝手に改装した人が居るのかな?」




床に入っていた隙間に、細い棒を刺して引き抜くと、地下へと続く道が現れた




女性はさっそく有害なガスなどが無いか調べ、安全であると確認を終えた




「大丈夫です。念のため、ガスマスクをつけていきましょう」




3人はガスマスクとつけ、地下道を進む




行き止まりには鉄の扉があった




鍵はかかっていなかったので、少し錆びついた扉をゆっくりと開く




そこには、古びた棺だけが置いてあった




「……これが、吸血鬼が眠っている棺桶ですかな?」




探偵は冗談のつもりでいうが、2人はヒクヒクとほほをひくつかせるだけで返事はない




「開けますぞ?」




軽く罠などが仕掛けられていないか調べた後、棺を開く




中には、何かの肉片が置いてあった




「――心臓?」




医者の心得でもあったのか、女性はその肉片が心臓だと判断した




それはしなびてはいるものの、腐っている訳ではない




しかし、近くにいるだけで立ち眩みが起きる




「原因はこれですな」




そばにいるだけで気分が悪くなった探偵は、早々にこれを原因だと決めつける




持ってきた細い棒を、その心臓に突き刺す




その瞬間、洋館がギィィィィと悲鳴を上げた




それから、おかしな雰囲気はなくなった




ここは本当に呪われた建物だったらしい

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