第574話 ふたをあけると
ふたを開けるのが怖い
私には、霊感なんて全くなかった
でも、飼っていた犬が死んでから変わってしまった
ふたを開けると、中から何かが覗いている
どんなに底の浅い鍋でも、ふたをあけると真っ暗な中から一つだけ目玉が覗いている
ふたを開けてから覗き込めば、何もないのに
最初のころはそれが分からなかったから、ふたを開けるたびにその目と目が合った
何かしてくるわけではないのだけれど、うらめしそうにその目は私を見つめてくる
やっぱり、飼っていた犬を食べたらいけなかったのだろうか
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