第554話 紙粘土

こんにちは、山内花林です。




工作の授業で、紙粘土を使って作品を作るという事になりました




みんな、思い思いの物を作ります




恐竜みたいなもの、うさぎみないなもの、たぬきなのか熊なのか分からないようなものなど様々でした




それでも、大抵の人は生き物を作ろうとしていたように思います




しかし、先生は




「できれば、生き物以外でお願いね」




と言います




魚……いえ、たい焼きを作ろうとしていた私は、先生に聞きました




「どうして生き物以外なんですか?」




すると、先生はこう話してくれました




先生は以前、ある中学校の担任をしていたそうです




そこには美術部があったそうなのですが、部員の一人がいわゆる天才だったそうで、彼女の作る作品はまるで本物のようだったそうです




中でも、生き物をかたどったものは、それこそはく製と見間違うほどの精度だったそうです




しかし、どこにでも妬む人は居るそうで、彼女の作った作品の一つ――ネズミの紙粘土細工が本物のネズミの死体に入れ替えられていたそうです




当然、そんなことをすればすぐにバレそうなものですが、遠目には区別がつかないほど、彼女の作る作品は本物そっくりだったそうです




しかし、ネズミの死体は数日もすれば腐ります……




そして、当然犯人も……




彼女の将来を心配した先生は、彼女と犯人を美術室に呼び、穏便に……表ざたにならないように配慮したつもりで……話し合いの場を設けたそうです




しかし、犯人の子は




「あんたが悪いのよ!」




と逆上し、先生が止める間も無くネズミの死体を掴むと、彼女の口に押し込んだそうです




腐りかけだったそれは、一生懸命に吐き出そうとした彼女の喉を少し通ってしまったようです




彼女はそれが原因で、高熱を出して寝込んだそうです




そこまで行くと、警察沙汰になり、先生も責任を感じて学校を辞めようとしたらしいのですが、彼女の親御さんからも先生を続けてほしいといわれ、こうして先生を続けているそうです




先生は言わなかったけれど……もしかしたら知らなかったのかもしれませんが、犯人の女子生徒は、全身をネズミに噛まれて死亡していたそうです




そう、先生の後ろに立つ「天才の彼女」は言いました




彼女は、ネズミを食べてしまった事に耐えきれず、自殺したみたいです……

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