第551話 地獄の

最初は気のせいだと思っていた




お気に入りに入れずに、ずっと検索で表示させているホームページがある




お気に入りに入れないのは、万が一家族がパソコンを開いてもホームページを見つけづらくするためだ




しかし、最近そのホームページが見つから無くなった




「くそ、ちゃんとお気に入りに登録しておけば……」




終わった後にそう思っても遅い。そもそも、お気に入りに入れないのは自分で決めた事だ




しかし、なぜ急に検索に引っ掛からなくなったのだろう




「そういえば……」




不幸中の幸いか、昨日の履歴を消し忘れていた




いつもなら、履歴もきちんと消していたのに昨日は何故か急に眠たくなったんだったな




履歴をクリックする




すると、サイトが表示された




「なんだ、検索をミスっていただけか?」




しかし、心の中では「そんなミスなんてするわけ無いが」とも思っていた




「あれ?」




表示されたホームページはいつもと違っていた




まるで、地獄につながる穴の様に、不気味な黒い穴が中央に表示されているだけだ




みると、アドレスも無い




じっとその穴を見つめていると、吸い込まれるような……だんだんと穴が大きくなってきている様な錯覚を覚える




いつの間に寝落ちしていたのか、気が付いたら朝になっていた




パソコンの画面は真っ暗に消えている




「やべ、遅刻する!」




すでに登校時間ぎりぎりだった




ダッシュで学校に向かう




家に帰ってくると、玄関は開いているのに誰も居なかった




「母さん?」




いつもなら出迎えてくれる母の姿が無い




俺の部屋の前に母のスリッパが並んでいた




「掃除でもしてるの?」




そう思って部屋に入ったが母は居なかった




ふと、パソコンの画面を見ると白い手が画面から生えていた




「うわっ!」




驚いて逃げようと思ったけど、その手にはめられている指輪には見覚えがある




「母さん!」




俺はその手を掴んでひっぱった




思ったよりねっとりとした感触がしたが、なんとかひっぱりだせた




画面からひっぱりだされた母は気絶していた




「まさか、昨日の黒い穴が広がって……?」




慌ててディスプレイを叩きつけて壊す




すると、画面がひびわれ、何事も無かったかの様に普通の黒い画面に戻った




「母さん!」




幸い、母は無事だった。本人は掃除をしに部屋に入ったあとの記憶は無いらしい




俺はもう、パソコンに触る事は無いだろう




そうそう、問題のホームページの名前は……


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