第550話 スカイダイビング

今日は、彼女にプロポーズをするつもりだ




一生忘れられない思い出にしようと、彼女をスカイダイビングに誘った




彼女はスカイダイビングが初めてではないのは知っていたからだ




この日のために高価な指輪も用意した




彼女には、ただのデートだと伝えている




高度数千メートル、あと数分でスカイダイビングだ




「おっと」




彼女にバレないように、しっかりと指輪をポケットに入れる




くっ、入れ物が大きくてうまく入らないな……




「どうしたの? そろそろ飛び出す時間よ」




「ああ、分かった」




俺は無理やりポケットに指輪のケースをねじ込んで、彼女の手を取る




そして、彼女と一緒に飛び出した




本来の予定では、このまま彼女と空中で色々なポーズをとったりする予定だったが、俺の予定ではこれからプロポーズだ




俺は彼女の手をはなす。彼女は驚いた顔をしている




俺は驚く彼女に大丈夫だと手振りで伝える




そして、ポケットからケースを取り出すと、丁寧に指輪を取り出した




「俺と結婚してくれ!」




大声で叫ぶと、彼女は泣きそうな顔になって




「わかったわ。私も好きよ」




プロポーズは成功した




あとは、無事にパラシュートを開くだけだ




そう思って背中にあるひもを引っ張ろうとする




「あ」




さっき、ポケットに指輪を入れるのに夢中でパラシュートを背負うのを忘れたようだ




2人きりになるためにお願いしたので、誰も他に居ない、俺達2人だけだ




俺の幸せもあと数分で終わる……

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