第533話 コックリさん

「目が3つに腕が4本、足は1本、これなーんだ?」




「どうしたのよ急に」




放課後の音楽室でコックリさんをやっていると、友達が急にそんな問題を出してきた




「うーん……そんなの……おばけじゃない?」




とっさに思いつかず、適当に答える。友達は私の方を見ている




いや、微妙に視線が合わない。その視線は、私の左後ろの方を見ている




「……だよね」




「ちょっと、やめてよ……」




コックリさんをやっていたのは単なる暇つぶしもあるが、万が一でも私の好きな人が誰かと付き合っているかどうかが分かればいいと思っていた




しかし、実際やって見ると10円玉は微動だにしない




あまりに何も起こらないので、10円玉を指の力で動かしたところ、友達はそんな問題を出してきたのだ




「私も半信半疑だったのよ? 今まで幽霊や妖怪なんか見たこと無いし。テレビでやってたのもうさんくさいやらせだとずっと思っていた。けどね、実際いるんだね。ほら、後ろに」




友達の冗談だ……そう思いつつも、全く視線を動かさない友達に不気味さを感じる




しかし、好奇心が無いと言えばうそになる。だから、私はゆっくりと振り向いた




「なーんてね。冗談よ。嘘よ。そんなもの居るわけ無いじゃない」




振り向いた私に友達はそう早口でしゃべる




しかし、彼女の焦点は合っていない。それどころか、両目が別々の方向を向いていた




しかし、顔だけはまっすぐ私を見ている




まるで、3つめの目で私を見据えている様な……




窓から入る夕日に、友達の影が伸びる




その影の腕の数は……


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