第532話 机の下から

新しい勉強机を買ってもらった




貧乏なうちにとって新品を買う事は出来ない




だから、新しいとは言ってもそれは中古だった




しかし、新品じゃ無いというだけで、勉強するには全く問題ない




少し傷はあるものの、文字を書いたりするのには全く問題にならない場所ばかりだった




普通に買ったら20万はするんじゃないだろうか? それが運よく2万円で買えたのは、日ごろの行いが良かったからだろうか




さっそく机に筆記用具やノートを入れる




しばらく使っていると、だんだんとしまうノートが増えてきて、引き出しいっぱいに入れるようになってきた




ビリッ




引き出しを開けると、何かが破けたような音がした




「やば、ノートをひっかけたかな……」




そう思ってゆっくりと引き出しを開けると、いちまいのオフダがノートの上に乗っていた




「こんなものどこから……」




そう思って引き出しの天井部分を手でなぞってみる




すると、まだ何枚かのお札が貼られていた




「気持ち悪い! はがしちゃえ」




すべてのお札をはがし、ぐしゃりと丸めてごみ箱に捨てた




それからしばらくして、机の外側に傷が増えたような気がした




僕は大事に使っていたので、自分でつけた傷じゃない。年の離れた弟か、妹が傷つけたのか? もしそうなら、きつくいっておかないと




受験も近いので、夜に勉強していると、足元をスーッと風が通った




ぼろい家だから、隙間風でも入ったのだろうか




穴を埋めるために紙をまるめ、机の下を覗き込む




すると、長い爪の女と目が合った




「ひっ、だ、だれだ!」




その女は僕の声を無視して、机を撫でる




すると、長い爪がひっかかり、傷をつける




こいつが机の傷をつけた犯人だったのか




僕は怖さよりも、勉強ができない怒りの方が勝り、女に向かって消しゴムを投げた




すると、女はあっさりと消えた




「ぎゃーー! いたい、いたいぃぃ!」




その日の夜中に、妹が急に叫びだした




慌てて妹の様子を見に行くと、妹は足を押さえて泣きじゃくっていた




見てみると、妹の足は何十回も爪でひっかいたように傷だらけになっていた




そして、あの机は再びリサイクルショップに売る事になった




前の持ち主は、お札を貼ってまで使用していたようだけど、僕には無理だ……

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