第530話 アパートの住人

「おはようございます」




「ああ、おはよう。今日もいい天気だね」




「そうですね」




私の家はアパートの5階です




高校生の私は、運よく受かった家の近くの高校に通っています




歩きとしては少し遠い、2kmほど先の高校です




それでも40分もあれば着くので、電車やバスで通っている同級生よりはお金がかからないだけマシでしょうか




そして、毎朝だいたい決まった時間にエレベーターで1階へ降ります




その時、毎日同じおじさんと会います




上の階に住んでいるのか、私が乗る時にはすでに乗っています




ぴしっとしたスーツを着ているので、会社員のエリートでしょうか?




顔も結構好みなのでドキドキします




そして、エレベーターから降りた後も、少し一緒の方向に歩きます




この方向には駅も、バス停も無いはずですが、そのスーツのおじさんは1kmほど一緒の方向に歩いた後、二股に別れた路地で別々の道へ進みます




それが1年近く続いているので、結構話すようになりました




向こうの道の先に会社があるのかな? それなら、結構大きなビルもある通りなので本当にエリートなのかもしれません




帰り道、たまにそのスーツのおじさんと帰りが一緒になる時があります




それは、部活が遅くなった日です




辺りが暗くなったころなので、見知った人と一緒に帰れるのは本当に心強いです




最近、この辺で同じ学校の男子学生が、通り魔に刺された事件もあったので尚更です




不思議なのは、私が少し遅刻しそうなときも、なんとなく早く学校に行こうとしたときもエレベーターで会う事でしょうか?




まあ、そういう偶然もありますよね




ああ、年上の男性かぁ……まあ、悪くないかもしれません

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る