第528話 白い軽四

こんにちは、山内花林です。




登校途中の事でした




私達は普段、集団登校をするのですが、この日は忘れ物を取りに途中で家に帰ったため、私一人だけで登校していました




そして、少しでも近道をしようと普段通らない道を通ってしまいました




学校からは、通学路以外は通らないようにと言われていたのに……




つぶれたコンビニの前を通りかかった時の事です




前から来た白い軽四が、急に右折してきました




私の前を高速で通り過ぎ、つぶれたコンビニの駐車場で止まりました




私は、このコンビニがつぶれたのを知らないのかな? と、近くを車が通ったためドキドキする胸を押さえながら考えていました




ひかれていたら……そう思って立ちすくんだまま1分くらいが経過したでしょうか




ブレーキランプの消えた車からは、誰も降りてきません




車はこちらに対して後ろ向きなのですが、後ろのガラスは何かを貼ってあるのか中が見えません




しかし、近づく勇気も無く、私は歩き出しました




ちらりと白い車を見ましたが、やはり降りてくる様子はありません




(あれ?)




角度が変わり、運転席が見えるようになったのですが、運転手は居ませんでした




しかし、どこにも降りていないのは確実です




後ろの座席部分は、中が覗けないようにブラインドの様なものが取り付けてありました




車の中を覗きたい……そんな衝動にかられましたが、学校へ行かなければという気持ちも強かったので、なんとか学校に向かいます




けれど、それを見透かしたかのように、後部座席の窓ガラスが少しだけ開きました




ぎりぎり手が通るくらい開いた窓から、おいでおいでと手首だけ出てきました




私は怖くなって走って学校に向かいました




私が校門に入る寸前、さっきの白い車が私を後ろから追い抜いていきました




やはり、運転席には誰も居ませんでした

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