第513話 ファーストクラス
飛行機にはファーストクラスがある
値段が高いため、空いていることが多い
俺が飛行機に乗った時、俺の座る場所に知らない老人が座っていた
「あの……そこ俺の席なんだけど」
「はぁ? 何を言っておる。ここはワシの席じゃ」
そう言ってチケットを見せてきた老人
それを確認すると、この次の便のチケットだった
すると、慌ててCAが来た
「申し訳ございません、お客様。どうかこちらへ……」
そう言って連れて行かれた先はファーストクラスだった
「こちらの手違いで通してしまいまして申し訳ございません。こんなことお客様に話すのは大変に失礼なのですが、あのお客様は大株主様なので機嫌を損ねる事はできないので……こちらのファーストクラスに代わって貰えないでしょうか?」
「料金が一緒ならむしろ願ったりかなったりだけど……あのじいさんをこっちにしなくていいの?」
「あの方は大変気難しく、一度こうだと決めたら絶対にいう事を曲げないので……申し訳ありませんが……」
「そういう事でしたら、喜んで」
さっそく座ろうかと思ったら、さっきの座席の場所に小さなバッグを置いてきたことに気づいた
CAに取ってきてもらえばいいのだが、なんとなく自分で取りに行くことにした
さっきの老人が我が物顔で俺の席に座っているのが見えた。俺のバッグはその隣に置いてあった
そのバッグを取ってファーストクラスへ戻ろうとしたところ、老人はボソリと
「悪かったの」
と言った。なんだ、自分の間違いも認めれるんじゃないか
あのCAが大げさだったんだなと思ってファーストクラスに戻った
飲み食いの料金は無料だと言われたので、普段飲めないような高級な酒を飲んだ
そろそろ着陸する頃、窓の外に何かが見えた
それは、ムササビの体のど真ん中に目玉を埋め込んだような奇妙な生物だった
俺と目があうと、その生物はどこかへ飛んでいった
着陸間際とはいえ、こんな今度に生物がいるはずがない。何よりも、飛行機に追いつける生物なんて……
あの老人は、このことを知っていたのかもしれない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます