第507話 猪

猟友会に入った




講習を受け、免許を取り、散弾銃所持の認可をもらった




もともとジビエに興味があり、また親の畑がよく猪に荒らされるから、なんとか助けてあげようと思っての事だった




先輩たちからアドバイスを受け、何度か熊や鹿を撃った




最近、親からまた畑が猪に荒らされると聞いて、見張っていた




猪は基本的には夜行性だから、暗い中で待機する




明かりをつけるわけにもいかず、蚊に刺されながらもじっと待った




すると、がさがさと何かが近づいてくる音がした




大きな何かが近づいてくる気配がする




(これが猪か)




俺は暗い中、猪に狙いを定めて銃を撃った




それは見事に猪に命中した




倒れている猪に近寄って確認する




今は暗いので、明日あかるくなってから猪を獲りに来ようと思い、一旦帰った




次の日、昨日の場所へ行くと、猪の死体が無かった




血の跡はあるので、実は致命傷では無かったのかもしれない




悔しくはあるが、これでこの畑に近寄ってくることは無いだろう




そんなことがあってからしばらくたったころ、うちの母親が行方不明になった




畑に行ったまま帰ってこないのだ




山を捜索した結果、母親は見つからなかったが一頭の猪の死体が見つかった




体に散弾銃で撃たれた傷があり、それが元で死んだらしい




さっそく獅子鍋にしようと猪が解体されることになった




大きな猪の腹が裂かれ、そこから大きな何かが出てきた




それは俺の母親だった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る