第503話 ポイントカード

天国と地獄への分かれ道




生前に善行をしたものは天国へ向かい、平穏な日々を過ごす




悪行をしたものは地獄へと向かい、そこで罪を償う




「くそ、また忘れた」




レジに並んでいる時に、ポイントカードを忘れたことに気が付いた




大したポイントは付かないのだが、せっかくもらえるものが貰えないと、ものすごく損した気になる




レシートで次回にポイントを持ちこしてくれる店は稀だ




並んでしまったものは仕方が無い。家にいったん帰るのも面倒でそのまま会計を終えた




その帰り道に交通事故に遭って死んだらしい




気が付くと、生前に未練があったものを身に着けていたのか、手にはポイントカードがあった




「あーあ、これを取りに行っていれば死なずに済んだのに。ってよくみたらあと1ポイントで割引券が出て来るじゃないか! くっそー」




すると、分かれ道があった。片方は綺麗な花畑に動物たちが楽しそうに跳ね回っている




もう片方には、岩山が燃え、地面はとげとげした石が敷き詰められ、歩く事すら困難に見える




「こんな分かれ道、こっちの綺麗な方に行くに決まってるよな」




そう思って左へ行きかけたが、右の道に一瞬「ポイントをつけます」と書いた看板が見えた気がした




俺は手元のポンとカードを見て




「あと1ポイントで割引される……」




ただそれだけしか考えられなくなって右の道へ行った




おどろおどろしい場所に、レジの様なものが見える




「お願いします」




そこに居たレジ係にポイントカードを渡す




「よかったですね。丁度満タンになりました」




気が付くと、病院のベッドの上だった




当然、手にはポイントカードなんて持ってなかった




「あれは、俺がいままでにやった善行の分だけポイントがたまってたのかな……」




俺は天国に行くよりもまだ生きていたい

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