第495話 ダイイングメッセージ

一人の小説家が殺された




現場は書斎で、彼はパソコンに向かって作業中に後ろから刺されたようだ




ただ、急所は外れていたらしく、即死はしてない




犯人は殺害したものと思ってすぐに部屋から出て家を物色し、逃げたようだ




被害者は一人暮らしのため、目撃者も居なく、犯人の手掛かりになる様なものは残されていなかった




現場検証が行われた




パソコンは当時のまま電源が入れっぱなしになっていた




そこに、鑑識の一人が気が付いた




「おい、この画面おかしくないか? ネット小説を書いている被害者が、なぜかエクセルを開いているぞ?」




「何でも触るなよ。でも、確かにな。不自然にいくつかのセルが空白になっている」




「現場保全は鉄則だが、ここはもう終わったから少し触ってもいいか?」




「まあ、それ自体は何も検出されてないから多少はいいけど、壊すなよ」




「分かってる」




すると、ある事に気が付いた。空白だと思っていたセルは、実は文字を白く塗りつぶしてあったのだ




その色を黒にすると、犯人の名前が浮かび上がってきた




「これは、ダイイングメッセージだ! これで被疑者が一人分かったな」




「ああ。でも、こんなダイイングメッセージを打ってる暇があったら電話で救急車でも呼んだ方が良かったと思うぞ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る