第496話 臨死体験
臨死体験
死にかけた時に見る走馬灯なのか、幻覚なのか、はたまた本当にあの世に行きかけたのか……
俺は高所作業中に3階相当の足場から足を踏み外し、地面に落下した
ヘルメットをしていたため、幸い頭自体は軽傷で済んだが、全身を強く打ち意識を失った
その時に体験した事だ
気が付くと、あたりは真っ暗だった
「ああ、俺は落ちて死んだのか」
ずいぶんあっさりとそういう結論が出た。いつかそういう時が来るかもしれないと思っていたからかもしれない
家は仏教だが、俺自体は別にどこの宗教を信じているという訳では無かったので、正直天国や地獄なんてのは信じていなかった
だから真っ暗なのかもしれない
それでも、花の匂いはした。そして、水の流れる音と水の匂いも
音のする方へ歩くと、段々と明るくなってきた
すると、跨げば越えられるほどの小さな川が見えてきた
「ああ、俺にとっての三途の川は渡りやすいようだな」
俺は無性におかしくなって川の前で笑っていた
すると、あたりに霧がかかってきた
すぐ目の前にあったはずの川すら見えなくなるほどの霧だ
「何が起きたんだ?」
きょろきょろと見回すが、霧以外何も見えない
そして、がしっと俺の肩を掴むものがあった
「大丈夫か!」
目を覚ますと、目の前に同僚がいた
「ここは……?」
「いま、救急車を呼んでいる。意識をしっかりもて!」
そして、足の骨折や内臓損傷などもあったが、なんとか命は助かった
もう少し目が覚ますのが遅く、三途の川を渡っていたら俺は死んでいたのだろうか?
俺には未練になるような家族はいなかったから別に死んでもいいと思っていた
だから、三途の川が狭かったのかもしれない
ただ、助かった命は大事にしていきたいと思う
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