第493話 鏡が
深夜0時
蔵にしまってあったらしい鏡を取り出す
この鏡は、昔からよくない事があると言われていた
だったら捨てればいいのに、というと、捨ててもいつの間にか戻ってくるそうだ
さらに、不幸付きで
親父が一回酔った勢いで捨てたときは、階段でこけて骨折した
酔っていたのが悪いんじゃないか? と思うかもしれないが、うちの親父は1升瓶を空にしてやっと顔が赤くなるくらい酒に強いから、酔いで足をもつれさせたとは考えにくい
何より、親父が2階へ行く用事はほぼ無い
2階は俺の部屋と妹の部屋の2つだけだから、基本的に親父は1階で過ごしている
おふくろから聞いた話では、おふくろの祖母が一回間違えてごみとして出してしまったそうだ
気づいたのは捨ててからで、小さかったおふくろがお菓子の箱にその鏡を入れてしまった事が原因らしい
けれど、不幸が襲ったのは実際に捨てたおふくろの祖母だったそうだ
たちの悪い当たり屋にゆすられて、現在の価格で数百万渡したらしい
それがきっかけで自殺してしまったらしい
因果関係があるのかどうかは分からないが、それを確かめる方法を教えてもらった
それが深夜0時に鏡を見る事
鏡に文字が現れるらしく、祝か呪かどちらか
鏡を開くと、呪と口紅の様な赤い色で書かれていた
「俺は、呪われるのか……」
俺はがっくりと肩を落とす。すると、扉が開いた
「やーい、騙されてやんの!」
妹だった。昔から俺にいじわるをする時がある。今日も、夜に大事な用があるから絶対にこっちに来るなと言ってあったのに……
「お前が書いたのか?」
「そうだよ。驚いたでしょ? ぷっ、こんな迷信信じるなんて兄貴も馬鹿だね。ほら、消してあげるよ」
妹が鏡の文字を消そうとしたが、落ちない
「あれ? 口紅で書いたから消えるはずなのに……」
妹は一生懸命こするが、消えるどころか段々と浮き上がってくるようだ
「あっ!」
力強くこすった拍子に手を滑らしたらしく、妹は鏡を落として割ってしまった
「あ、ごめん……。今度新しいの買って返すから、これは捨てるね」
妹は鏡の呪いを信じていないらしい
次の日、何事も無かったかのように鏡は無傷で机の上に置いてあった
代わりに、妹がバイク事故で顔がずたずたになった
俺が開いた鏡は、実際には「祝」と書いてあったようだな
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