第486話 押し入れ

暗闇をじっと見てると、何かが動いている様な気がする




暗闇をじっと見ていると、何かが生まれてくるような気がする




暗闇をじっくりと見ていると、嫌な気配がする気がした




寝る時に、電気を消して寝ている




ベッドのすぐ横は押し入れだ




その押入れが、誰も開けていないのにいつも開いている




建付けが悪いわけではなく、気が付いたら少しだけ開いているのだ




いつもはしめて寝ているのだが、今日はなんとなく開いたまま寝ることにした




だが、その隙間が気になってなかなか寝付けない




目をつむると、まぶたのうらに白い顔が見える気がして、目を開ける




すると、何もない暗闇が見えるのだが、その奥で何かがうごめいている気がする




その暗闇に手を入れると、何かに掴まれそう




その暗闇に光を照らすと、何かが見えそう




だから私はいつもどおり閉めて寝ようとした




しかし、その日はなぜか最後まで閉まらない




戸の後ろで一生懸命誰かが押さえているかのように




怖くなって明かりを点けてしまった




明かりを点けなければよかった

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