第457話 火車

火の車……別に家計がヤバイ訳じゃない




火車というものを見たことがある




葬式の後、火葬場へ向かうバスの中で、外をボーッと見ていた時の事だ




視界に火の玉の様なものが見えたのだ




(人魂……?)




ゆらゆらと揺らめくその炎は、馬車の車輪が炎を纏ったように見えた




それは、バスの横を並走するようについてくる




怖いとか、気持ち悪いとか、そういうものは一切なく、悲しみの様なものが浮かんできた




火葬場についた時、その炎はいつの間にか見えなくなっていた




後で知ったのだが、火車は悪行を犯した死体を奪いに来ているらしい




俺の叔父さんが、生前に何をしていたのかは知らない

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