第456話 三輪車

こんにちは、山内花林です。




ある事故現場を通りかかった時の事です




電柱のそばに花と一緒に三輪車が置いてありました




恐らく、事故に遭った子供のものだったのでしょう




私は手を合わせて冥福を祈り、立ち去りました




すると、うしろからキコキコキコと音がします




振り返ると、さっき事故現場に置いてあった三輪車がポツンと置いてありました




その三輪車には誰も乗っていませんし、誰かが動かした形跡もありません




当然、坂で勝手に動いたのなら、今止まっている理由になりませんし




私は怖くなって走りました




すると、後ろからキコキコキコと音がします




私は道の曲がり角を急いで曲がり、電柱に隠れました




(どうか、そのまますぎて行ってくれます様に!)




すると、願いが叶ったのか、三輪車のキコキコという音がピタリと止まりました




私はそっと角から様子を見ます。すると、スカートをクイッとひっぱる感触がしました




「お姉ちゃん、遊ぼう」




「きゃああ!」




私のスカートを2歳か3歳くらいの男の子が掴んでいました。それも、血だらけで首が90度曲がったまま




私が走ると、スカートを掴んでいた男の子はバランスを崩して倒れました




「まって、まってよぉ」




男の子は首が曲がっているせいか、なかなか起き上がれないでいるようです




私は急いで誰か居る所へ……と逃げました




この先には交番が! そう思った時、キコキコキコと三輪車をこぐ男の子が追いかけてきました




三輪車の速度は、私が走る速度よりも早く、あと少しで追いつかれる……そう思った時




ブオオォとトラックが通り過ぎました




すると、三輪車はピタリと止まり、男の子が消えました




「もしかして、あの男の子はトラックに轢かれた……? 助かったの……?」




「つかまえた」




再び、私のスカートが掴まれる感触がしました

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