第446話 光るキノコ
「うぅ、何でこんなことに……と言っても、自業自得なんだろうけど」
コンビニ強盗をして猛スピードで逃げていた途中、カーブを曲がり切れずに斜面を滑り落ちていった
幸い、エアバッグのおかげで怪我らしい怪我はない
たった数万円を得るために車をおしゃかにして赤字もいい所だ
とりあえず、警察が来るかもしれないので道からは離れる
夜に近くなった。まだ警察はここにきていないが、見つかるのも時間の問題なのだろうか?
「あー……腹減ったなぁ」
当然、食料なんて持ってない。それに暗くなってきたせいで何も見えなくなってきた
ふと、何か光るものがあった。ライトとかではなく、もっとぼんやりとした、ライトをティッシュか何かで包んでいる様な弱い光
光の方へ行くと、そこには少しだけ光るキノコがあった
「はぁ……どう見てもまともなキノコじゃないよな……」
しかし、ぼんやりとした光を見ていると、何故か食いたくなってきた
ちょっとだけ食ってみる。すると、シイタケとシメジを足して割ったような味だった
しょうゆが欲しくなるが、そんなものは無いので生のまま食う
それから1時間ほど経過したが、腹は痛くならない。よかった、見たことも無いキノコだったが食用だったようだ
それから目をつぶって寝ようとすると、視界に何か白いものが横切った気がした
「だ、誰だ!」
誰も居ないような森の中。さらに斜面から滑り落ちてきたような場所に人が通る道なんて無いはずだ
当然返事は無く、物音もしない。鳥の鳴き声か動物の鳴き声か、その程度だ
「気のせいか……」
そう思った瞬間、後ろを何かが通り過ぎたような気がした
振り向いたが何もない。しかし、今度は木の上から誰かが見ている様な……
俺はこんな場所にずっと居る気にならず、見つかるのも覚悟で車の場所へ戻る
しかし、暗い中なのでどこから来たのか、どこへ向かえばいいのか分からない
すると、またボヤッとするキノコの生えている場所に着いた
「くそっ、こいつが明かりにでもなればいいのに」
そう思いつつ、キノコをむしる
手に持って歩くが、数センチ先すら照らすことは出来ない
とうとう、真っ暗になった
明るくなるまで寝て過ごすか、せめてなにか洞窟か木のうろでもあればいいのに……むしゃ
「は?」
気が付くと、俺は手に持っていたキノコを食っていた。まったく食う気がなかったのに
俺は気味が悪くなってペッとキノコを吐き出す
結局、あれから寝ようとすると変な気配を感じて、移動するというのを繰り返しているうちに朝になった
明るくなって見てみると、そこは丁度車で落ちた場所だった
斜面を登り、道路に出てコンビニ方向へ歩く
やはり通報していたのか、警察車両が来るのが見えた
「お前がコンビニ強盗か?」
俺はあっさりと捕まった。でも、捕まってよかったと思う
何故なら、俺の周りをずっと何か白いものが浮遊しているからだ
服役すれば医者にかかれるとは聞くが、おはらいもしてくれるのだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます