第436話 サービスエリアで
長距離トラックの運転手をしている
深夜の運転をしていて、少し休憩しようかと人気のないサービスエリアに入ったところだ
トイレを終え、煙草を吸って、運転席のハンドルに足を乗せて目をつぶる
夜の方が距離を稼げるため、少しだけ休むつもりであったが、いつの間にか寝てしまっていたようだ
コンコンッ
誰かが窓を叩く音で目が覚めた。ヤバイ、もしかしてもう朝なのか?!
そう思って瞬時に周りを確認するが、まだ夜だった
「びっくりした……仕事に遅れたかと思ったぜ」
起こしてくれた人にお礼を言おうかと外を見たが誰も居ない。車を降りて周りを見ても、車の1台も止まっていない
高速道路だから、たまたま通りかかった人が居るわけでもないだろう
夢だったのか? いや、確かに窓を叩く音がしたような……
実際に誰も居ないので車の中に入ろうと思ったところ、ドアの所に何か書かれている
「……」
ささやくような声がしたので、振り返ると誰も居ない
不気味なので急いで車に乗り、エンジンをかける。しかし、エンジンがかからない
「なんで、なんでエンジンがかからないんだよ!」
エンストでもない、ガス欠でもない、きゅるきゅるという音だけが鳴る
コンコンッ
車の車体を叩く音がした
コンコンッ
車の屋根を叩く音がした
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン
「やめてくれ!」
俺はクラクションを鳴らすと、音はピタリと止まった。それと同時にエンジンもかかる
俺は急いでその場を去った
朝までどこにも休まずに高速を走る。早く人の居るところに行きたかった
高速を下り、コンビニの駐車場に入る
ふと、サービスエリアで車のドアに何かが書かれていたのを思い出した
「寝るな」
ドアにはそう書かれていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます