第431話 声優

20年以上前のアニメが、リメイクされることになった




当時の声優のうち、何人かは高齢やすでに亡くなっているという事で新しい声優に入れ替える事になった




そのオーディションの日




「じゃあ、このセリフを読み上げてください」




昔のキャラのイメージを壊さないように、似たような声の声優を選ぶ事になるだろう




そして、声のイメージだけで選ぼうと、録音した音声をランダムに流すことになった




「私は死なない……絶対に!」




「おっ、この声優はイメージにぴったりじゃないか?」




何人かのスタッフにも聞いてもらったが、まるで本人のようだという




そして、その番号の人に連絡を取る。すると、意外な事実が分かった




「私、その声優の孫なんです」




そう言う女性は、確かにこの声優の面影があった。しかし、実際に会ってみると微妙にイメージと声が違う気がする




「ちょっと、もう一回声当ててくれる?」




そう言って録音した声は、やはり前のモノと少し違っている気がした




しかし、相当ずれているわけでもなく、他の人よりは良かったのでもう一度スタジオで録音する




すると、また本人のような声に……




もしかしたら、このスタジオで録音する時だけ変わるのか?




そう思って試してみたところ、その通りだった




「この部屋、おばあちゃんの匂いがします」




そう言う彼女は、今では本物そっくりの声になっている

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