第428話 停電

私はペットの飼えるマンションに住んでいる




一人暮らしなので、ペットに癒されたいのだ




と言っても、あまりにも鳴くようだったら迷惑だと思ったので、大人しい中型犬を飼っている




ポストを見ると、停電のお知らせが入っていた




時間帯は夜の12時からと言う事で、特段問題は無いと思う。普段でもその時間にはすでに寝ているからだ




その日も、仕事を残業し、マンションへ着いたのは夜の11時だった




「あれ? 鍵閉め忘れてたっけ……?」




鍵を挿し込んだけど手ごたえが無く、あっさりと戸が開いた。私は疲れていた事もあり、深く考えない事にした




いつもなら出迎えてくれるペットのペスも、今日は寝てしまっているのか出迎えてくれない




玄関の明かりをつけようとしたが、電機は付かなかった




「そう言えば、停電のお知らせが来てたっけ……という事は、料理も作れないし風呂も無理か……明日は休みだし、もう寝ちゃおう……シャワーは明日浴びればいいよね」




私はベッドに倒れ込み、そのまま寝る。あー、冷凍庫の中身も溶けちゃったかな……




考えるのもめんどくさくなったのでそのまま寝た




しばらくして、何かが近づいてくる気配があった




(ぺスかな?)




私はもう寝る寸前だったので構わないことにした




すると、ペスは私のほっぺたを舐めてくる。あー、今日化粧も落とすの忘れてた……もうどうでもいいや




私は目をつぶったままペスを撫でようと手を伸ばすが、ペスは顔を舐めて気が済んだのか、私が触れる前に離れていった




次の日、目が覚めると、壁に血が付いていた。私のすぐわきに血痕が続いている




びっくりして血の後を追うと、そこは風呂場でペスが首を斬られて死んでいた




「ペス! どうしてこんなことに……」




私はしばらく途方に暮れていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る