第422話 ゴルフコンペ
接待ゴルフをしていた時の事
取引先の部長に誘われて、わが社から2名ほどゴルフコンペに参加する事になった
「おい、絶対に取引先の部長よりいいスコアでまわるんじゃないぞ!」
「それくらい分かっていますって。ただ、ホールインワンは狙いますけどね」
部下は雷のマークが入ったボールを使うようで、丁寧に磨いている。仕事もそれぐらい熱心にやってくれればよいのだが
それにしても、本当に分かっているのか? ホールインワンなんか出た日にゃ部長よりも目立って機嫌が悪くなるんじゃないか? まあ、狙って入れれるくらいならプロになれるだろうから放っておこう
あと数ホールというところで急に天気が悪くなってきた。当然スコアは部長が一番いい
「部長、どうされますか? 風はともかく雨がひどくなってきましたが」
「あと数ホールだし、これだけ濡れたらあと少しくらい濡れても同じだろう。さあ、さっさとまわろう」
部長の意向に逆らう訳にも行かず、さっさと終わらせることになった
遠くでゴロゴロと雷の音もしている。次は私の部下の番だ
「ここはパー3っすからホールインワン狙いますね!」
「好きにしろ。それより早くしろよ」
部長とはスコアが3は離れているのでさっさとパーでもバーディでもいいから終わらせたい
「っしゃ、いけ!」
部下は渾身の当たりだったらしく、ボールは一直線にグリーンを目指し……
「ボールはどこ行った?」
「何言ってるんすか、ホールインワンっしょ!」
部下はそう言ってグリーンへ急ぐ。私には天気が悪くてボールを目で追えなかった
部下はグリーンに着き、カップを覗き込む
「やったー!」
そう言った瞬間、ポールに雷が落ち、部下は弾き飛ばされた
「おい、大丈夫か!」
救急車を呼び、部長と一緒に部下を運ぶ。幸い、本人に直撃したわけではなかったようではあったが、少し火傷を負ったようだ
「どうっすか……俺のホールインワン……」
「あほ、それどころじゃないだろ!」
部下はそのまま入院し、途中でやめなかったことを悪かったと思っているのか、部長は我が社と割のいい契約を結んでくれた
あと、部下のボールは結局どこにも見つからなかった。まさか、契約と引き換えに部下に雷を落とした……とかじゃないよな?
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