第412話 看板
山菜をつみに山へ入ると、入り口に看板があった
その看板は古いのか、赤い文字の部分が消えている
「書き直してないって事は、大した事無いってことだよな」
勝手にそう思い、看板を無視して進む。そもそも、何も危険なものなど見当たらない
熊でも出るのか? それとも、落石、土砂崩れか?
一応熊対策はしているし、斜面に近いわけでもない
しばらく進むと、また看板があった
「……が……います……ください」
何が居るというのだ? 注意して下さいか?
きにせず山菜を積む。しばらく辺りを探していると、他にも山菜を取りに来ている人が居るようで、木の間をきょろきょろと地面を探しているようだ
俺は結構とれたし、おすそ分けでもしてやるか……
そう思って、まだ何も持っていない女性に近づいていく
すると、その女性も私に気が付いたのか、こちらに近づいてくる。その形相は異常で、まるで必死に何かを探している様な……
「このあたりに娘が埋まっているんです! 一緒に探して下さい!」
そう言うと、女性は手に持っていたシャベルで地面を掘っては別の場所に移動する
私はいたたまれなくなって下山した。すると、丁度地元の人が居て声を掛けてきた
「女性に会われましたかな? あの人は十数年前に娘を誘拐されて、犯人はこの山に埋めたと言ったらしいんですよ。だけど、警察が捜索をしても見つからないから、我々は犯人が嘘をついたと思っている。だから、この辺に死体が埋まっているということは無いから気にせずまた来てくれ」
「そうですか……。それを女性に知らせないのですか?」
「何度も言いましたが、聞かないんですよ。埋めていないって言っているのに……」
そう言って地元の人は去っていった
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