第394話 映画館で
映画館での事
平日の夜10時以降は30%割引という事で、久しぶりに映画を見に行った
もともとシリアスな映画のため、むしろ夜の方が雰囲気がある
まあ、映画館の中なら外の明るさなんて関係ないが
物語が中盤に差し掛かったころ、近くですすり泣く声が聞こえた
(そんなに悲しい場面じゃないのにな?)
感性は人それぞれだという事で、気にせず見ていた
すると今度は、後ろから電話で話している様な話声が聞こえた
夜という事もあり、席はガラガラで、ぼそぼそと話している声は俺にしか聞こえないのだろうか?
話し声が気になるので、席を移動した
物語が後半に入り、そろそろ終わりそうだと言うとき、一番後ろの席の方で子供が泣き出した
(ちっ、いい所なのに……さっさと子供を外に連れ出せよ)
せっかくのいい気分が台無しだ。1分ほど経ってからやっと静かになった
(……?)
静かすぎる。主人公とヒロインが静かに見つめあう場面であったが、映画館から物音ひとつしない
気になって後ろを向くと、5~6人の人間が俺の後ろで立っていた
「うわっ!」
俺はびっくりして席を立つ。それでも、静かにたたずむ人たち
俺は嫌な感じがして、せっかくのラストではあるが映画館の外に出た
「なんだったんだ?」
俺は販売店の前でコーヒーを買い、一服する。映画が終わったのか、ちらほらと客が帰っていく
しかし、その中にはさっき俺の後ろに立っていた人たちが見当たらない
さらに言えば、子供なんて居ない
俺はコーヒーをさっさと飲み干し、映画館を後にした
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