第393話 win-win

「この薬は、使うと30%で死にますが、50%で病気が治ります。20%で効果が出ません。こちらの薬は、使うと10%で死にますが、事前に使わないと効果がありません。また、事前に使っていても、50%の確率で病気にかかります」




俺に突き付けられた選択肢は2つ。病気にかからないように予防接種をするか、病気になってから治療薬を打つか。




「先生、ちなみに、事前に使う方は、仮に効かなくて病気になった後でも治療薬は使えるのか?」




「使えますが、その代わり死亡率は50%にあがります」




単純にいけば、病気にかかった時に治療薬を使えば50%の確率で治る。もう一つの薬は、50%の確率で病気にかからない。そう考えると、死亡率10%で50%病気が治ると考えてもいいんじゃないか?




「分かりました。それじゃあ、予防薬の方を投与してください!」




俺は予防薬を打ってもらい、意気揚々と帰った




そんな俺が帰った後の病室では




「やっぱり、数字上はそう思うわよねぇ」




看護婦は、ポツリと言った




「ただ、病気にかかる確率が50%あがるのよね、あれ」




「はははっ、私は嘘をついていないのだから。あとは受ける人次第だろう」




「先生も、あくどいわねぇ。結局、ほとんどが予防と治療を両方打つことになるのに」




「まあ、それが我々の給料になるんだから、win-winだろう?」




「そうかしら?」


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