第390話 体操服

こんにちは、山内花林です。




今日、授業中に屋外でマラソンの授業をやっているクラスを見た時の事です




そのクラス全員が走っていると思っていたのですが、一人だけ、木陰で見学している子を見かけました




距離がある上、体操服なんてみんな同じなので、「あの人は〇〇ちゃん」と断定できる要素はありませんでした




髪の長さから、おそらく女子だと思われます(私の学校では、男子も女子もズボンタイプの体操服)




その時は、単純に「見学か」くらいにしか思っていなかったのですが、次の授業で、別のクラスが体育をしているときも、同じ子が見学していました




さらに言えば、さきほどマラソンしていたクラスと学年も違います




それは午前中だったのですが、給食を食べ、午後の授業が始まった時、ふと気になってその木陰を見ると、誰もグラウンドを使っていないのにその子が見学していました




さすがにおかしい、生きた人間じゃないかもしれない……そう思った時、くるりとその子がこちらを向きました




私はとっさに黒板を見る事にして視線を避けましたが……どうしても気になります




つい、もう一度見た時、距離があるのにはっきりとその子の口が




「み・た・ね」




と動いたのが分かりました




私は怖くなり、クラスの子達と一緒に帰ることにしました




視界の端に、木陰を意識しながら帰りましたが、その時にはその子はすでに居ませんでした




しかし、家に近づいて友達と別れた後、電柱の奥に、誰かが体育座り(三角座り?)をしているのが見えました




電柱が邪魔で、顔は見えませんでしたが、体操服を着ているのが分かりました




気が付くと、家の前に居ました




自分でどうやって帰ってきたのかは分かりませんでしたが、いつの間にか体のあちこちをすりむいていました




さらに、門限(17時)までに帰らなかったと母親に怒られました




次の日には見かける事はありませんでしたが、今では体操服を見るだけでもビクッとしてしまいます

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