第386話 黒ひげ危機一髪

黒ひげ危機一髪ゲームと言うのをご存じだろうか




樽に入った黒ひげ人形を、樽に開いた穴に、剣をさし、ある1点に当たった時に黒ひげが飛び出すのだ




そして、俺は今、何故か黒ひげ人形になっている




樽の周りを顔の無い子供がぐるりと囲み、それぞれ剣を持っている




一人目……俺の左側に剣を挿した。しかし、何も起こらなかった




二人目……俺の右側に剣を挿した。しかし、何も起こらなかった




穴は全部で10。残り8。今ので10分の1、9分の1を回避したことになる




確率的には……いや、そんなことを計算している暇は無く、次の剣が俺の後ろに挿しこまれた




運が良いのか悪いのか。そもそも、最後の1本まで挿されるのなら運が良かろうが100%……死ぬのか?




案外、単に上に飛び出すだけで、それで終わり……という事は無いか?




俺の心を読んだように、顔の無い子供の顔に裂け目が出来た。それは、口のようでニヤリと……いや、ニタリと大きな赤い口を開く




そいつが、思い切りよく俺の前から挿しこんだ。俺は死んだと思った……が、何も起こらなかった




「ちっ、運のいい奴……」




合計7本挿された段階で、その子供たちは消えた。それと同時に目が覚める




テーブルの上には、昨日俺が遊んで、7本だけ剣を挿した状態で置いてあるのが目に入った




一瞬、黒ひげの代わりに顔の無い子供の人形に見えた気がした

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