第375話 ぶらぶら

春休みに入り、小学生に入ったばかりの娘を家の前に遊ばせていた




「---だね、あははっ」




食器を洗っていた時に、娘が誰かと話している声が聞こえた




誰だろう? と窓から見ると、近所でも見た事が無いおじさんが娘と話している




「ぶらぶらしてるー。おもしろーい」




不審者だろうか?




私は慌てて玄関へ走り、飛び出す。それと同時に、そのおじさんは私に背を向けたまま歩いて行った




「あの人は誰? 何をしていたの?」




私は娘を問い詰めると、娘は楽しそうに




「おじさんのがねー、ぶらぶらしてて楽しかったの」




「ぶらぶら? 何がぶらぶら――」




私がもしや……と考えた瞬間、娘が先にこたえる




「目玉がね、顔から飛び出てぶらぶらぶら下がっていたの」




私はとっさに119番かしら? と思ったが、ケガだったらあんなに平気そうに歩いていないだろう




やはり、110番が正解? しかし、本当に目玉が飛び出ていた場合は何か罪になるのだろうか?




私は、答えが見つからないまま娘を連れて家に入る事しかできなかった

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