第372話 有言実行

有言実行




これが出来る人はどれほどいるだろうか?




ノルマを達成する、政権公約を実現する、1日1善などなど




ある時、有言実行すると明言した男が居た




「俺は人が困ることをしない!」




そう言って毎日周囲に気を使い、しかし気を使いすぎて迷惑をかけるなんてこともしなかった




ある日、仕事上でミスを犯した。自分だけ会議日を間違えたのだ。オブザーバーとしての参加者だったので、誰かが困るという訳では無かったが、それをネタに嫌味な上司が




「こんな単純なこともできないようじゃ、有言実行も不可能なんじゃないか?」




普段であればその程度の嫌味など聞き流すのだろうが、彼にとってはその一言が到底許せるものではなかったらしい




「あいつ、いつか殺してやる」




上司の前を去り、俺の前を通りかかった時にポツリとそう呟いた




それ以来、何故か彼はその上司のお茶を入れるようになった

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