第371話 ヌメヌメ

空き家をリフォームした物件を買った




少子化の上に、高齢化で、集落を維持できなくなったために誰も住まなくなった集落を、まるごとリフォームして100名ほどの新規住民を、行政も手伝う事によって可能としたらしい




新規の100名なので、近所づきあいもこれからという事でいろんな人が集まったのだろう




俺の買った家は、村長の家だったらしく他の家よりも広かったが、その分掃除の行き届かない場所も出てきた




特に、昔ながらのかまどがあったらしい一角は、リフォーム後も床が石のままだ




その真横に風呂場がある




1か月ほどたち、掃除をしていると、そのかまどの場所がおかしい事に気が付いた




風呂とかまどの間に、ほんの少しだけ空間があるのだ




壁を叩くと、空洞だという事がよくわかる




最初は気にしていなかったが、さらに数か月たったころ、その空間の場所が黒ずんできた




リフォームしたばかりなのに、雨漏りでもするのだろうか?




さらにしばらくして、腐ったような臭いまでしてきた




リフォーム会社を呼んで、その一角について文句を言ったところ、調査してくれるという事らしい




しかし、設計図にはそんな場所は無く、無理やり板で覆っただけであることが判明し、板をはがすことになった




「なんだこりゃ……」




板をはがすと、その中には大量のナメクジがいた。うぞうぞと動く大量のナメクジに、皆引いた




害は無い物の、気持ちが悪い。幸い動きは早くないので、皆で手分けして回収し、10kgの塩をいれた箱に次々と放り込んでいった




しかしそれ以来、ナメクジもいないのに、その付近だけヌメヌメするようになった




ただ、霊感が強い友人が言うには、そのおかげで蛇の霊が近寄れないでいるらしいが……見えない俺にはヌメヌメだけが気になるのだ

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