第370話 請求書
封筒が届いた。中には、紙が3枚に折りたたまれている。それを広げてみると、請求書だった
「差出先はどこだ? ん? 何も書いてないぞ」
請求書の下に書いてあるはずの会社名や、個人名が見当たらない。封筒の方を確認したが、切手すら貼ってなかった。自分で届けたのだろうか? それなら、少なくとも同じ県内か市内の人物だろうが、思い当たるものはない
「請求額は……ん? 寿命3か月分?」
どうやって徴収するつもりだ? 死神じゃあるまいし、魂を削るとかか?
「ははっ、やれるもんならやってみろよ」
俺は確かにそんな夢を見た気がする。幸運があるたびに寿命を貰うと
契約者が誰だったかは忘れたが、所詮夢の話だ。宝くじで100万当たったのは普通に運が良かっただけだろう
「ばかばかしい」
俺は請求書をごみばこに捨て、喉の渇きを覚えた
「冷蔵庫には……飲み物は無しか。水じゃ味気ないし、コンビニでも行くか」
財布をポケットに入れ、コンビニに歩いて向かう。交差点を青信号になるまで歩道で待つ
青になり、歩道を進むと、右から信号を無視した車が突っ込んできた
気が付くと、病院のベッドの上だった。ちょうど、病室に看護婦が居た
「あっ、気が付きましたか? 大変でしたね、信号無視した車に轢かれるなんて」
そうだ、俺は車に轢かれたんだ。足を見ると、両足がギブスに包まれている
「両足骨折で、全治1か月ですね。リハビリも兼ねて3か月あれば退院できると思いますよ」
これが寿命3か月ってことか? いや、たまたまだろう。それに、別に3か月間何もできないわけじゃないからな
それから3か月後、退院日を迎えた
「退院おめでとうございます、今じゃ私の彼氏ですね」
そう、俺は看護婦の励ましを受けて頑張り、その手伝いをしてくれた看護婦と付き合う事になっていたのだ。これが本当の怪我の功名か?
家に帰ると、また封筒が届いていた。彼女と付き合ったのが、幸運だというのか……俺は請求額を怖くて見れないでいた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます