第362話 革靴
フリーマーケットで革靴を買った
新品ではないらしいが、ほとんど新品のように汚れていない
聞いたところ、その靴の持ち主は会社に勤めていたらしいが、癌を患って亡くなられたらしい
靴を集めるのが趣味だったらしく、何十足もあったし、処分するのがもったいなかったのでフリマに出したそうだ
俺はその靴を履いて満員電車で会社へ向かった
「痛っ、誰だ?」
誰かが俺の足を踏んだ。ぎゅうぎゅう詰めのため誰が踏んだか分からない。周りを見ても、我関せずというふうに装っている
腹ただしかったが、犯人も分からないので泣き寝入りだ
しかし、次の日の満員電車でも誰かに踏まれた。2日連続とは運が悪い。今回も犯人は分からなかった
次の日は休日で、満員では無かった。すると、靴を踏まれることも無かった。やはり、運が悪かっただけだろう
日曜日に、その靴を磨こうとして気が付いた。踏まれたはずなのに踏まれた跡が全くないのだ
次の日、また満員電車で足を踏まれる。そして、満員じゃない時は踏まれない。さらに、踏まれるたびに痛みが増している気がする
とうとう、激痛を感じる程になった。履くのを止めればいいと思ってはいるが、何故か履かなければならないと感じていた
嫌な予感がして病院で健康診断を受けた。すると、小さな癌が見つかった
発見が早かったため、転移することも無く1回の手術で終わった
それ以来、もう靴を踏まれることは無くなった
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