第361話 スプレー

ある商店街で、夜間に落書きされるという事件が起きている




人気のない商店街という事もあり、夜間にもなれば人通りはほぼ無く、その犯行を見た者は居ない




しかし、朝になってシャッターを開けようとすると、文字のような、絵のようなよくわからない物が書いてある




スプレーで描かれているそれは、洗っても落ちない為わざわざ白く塗り替える必要があったのだ




塗り替えてもすぐにまた描かれるため、一部ではすでに放置されている状態である




そこで、監視カメラを設置し、犯人を突き止めようという事になった




しかし、その監視カメラですらスプレーで塗りつぶされてしまい、監視カメラのための監視カメラを設置するという余計な出費が重なった




さらに、その監視カメラには誰も映っていないのに、次の日には落書きがされている。落書きがされている間はなぜかブラックアウトして映っていないなどのトラブルが続出した




しかし、ある一人のアイデアから落書きは消えた




「ご自由に描いてください」




ただそれだけで落書きされることは無くなったのだ。それでも、夜間にスプレー缶をしゃかしゃか振る音を聞いたという人はたまにいるらしい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る