第356話 ホームビデオ

年末、大掃除をしていると、見覚えのないビデオテープが出てきた




「何だこれ?」




自分のではないが、家にある以上、家族のものかもしれないと思い、親に見せる




「ああ、そんなところにあったのか? 無くしたと思っていたんだが。それはお前の生まれたときから撮りためていたテープだ」




ホームビデオと言う奴らしい。掃除で忙しいのだが、親が懐かしいからと言ってテープを再生した




そのテープは、俺が2歳くらいの時の物だった。まるで檻の様なベッドですやすやと寝ている




しばらくして、画面が切り替わり、外で遊んでいる場面だった




撮りながら遊んでいるのか、俺を真正面に、ボールが画面のしたと俺の間を行ったり来たりしている




「ん? こんな場面あったかな? なにせ、20年くらい前のものだからなぁ」




親は記憶にないのか、不思議な顔をして続きを見る。画面が変わり、かくれんぼをしているのか、俺はキョロキョロと見渡しているが、カメラには気が付かないようだ




ザザッとノイズが走り、同じ場面と思われる場面がもう一度再生される




「古いからなぁ、テープが絡まったか?」




しかし、再生された場面は、微妙に撮っている場所が変わっている気がする




俺の後ろから撮ったり、上から撮ったり、どうやって気づかれずに撮ったんだ?




もう一度ノイズが走り、また同じ場面。しかしやはり、微妙に撮っている場所が変わっている




「これ、前の家じゃない? 変ね、前の家の時にあなた、産まれてたかしら?」




前の家は墓地の近くにあり、それが気味が悪いからと、親が定年と同時に退職金で新しい家を建てて引っ越したらしい




もう一度同じ場面が始まり、今度は少し離れた位置だった




「ここ、墓地の中じゃない!」




いままでと違い、俺が映っていない。しかし、急に画面が切り替わり、骸骨が画面いっぱいに映し出され、その瞬間プツンと画面が消えた




テープが勝手に排出されたが、磁気の部分が切れてしまっている




あれがなんだったのかは分からないが、今のところ何も起きてはいない

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