第355話 カラスの死骸

カラスはとても頭のいい鳥だ




カラスの死骸を吊るしておくと、危険を感じてそこへは近づかないらしい




死骸っぽいプラスチックでできたものは、しばらくすると慣れるらしいが、本物の死骸の場合は2度と近づいてくることは無いと聞いた




ただ、鳥の死骸は風雨にさらされるとすぐにボロボロになって無くなるため、なかなか手に入らないが




あるひ、木から落ちて死んだのか、家の近くにカラスの死骸が落ちていた




家の近くにゴミの集積場所があるため、カラスには常に悩まされている




生ごみだけではなく、普通のゴミ袋もつついて中身を出してしまい、片づけが大変だからだ




少し気持ち悪かったが、カラスの死骸をひもでくくり、吊るしておいた。一見すれば偽物にみえるくらい綺麗な死骸だった




その効果か、吊るした日からしばらく、カラスが来なくなった




しかし、本物の死骸のため、しばらくすると肉が腐り、骨が見え始める




ここまでくると、近所の人もカラスの死骸が本物だと気づき、気持ちが悪いと言い出したので、死骸はゴミ袋に入れて捨てた




夕方、家の2階で読書をしていると、ガラスにバンッと何かがぶつかる音がした




見ると、カラスが窓にぶつかったようで、黒い羽が屋根に落ちていた




透明なガラスで見えなかったのか? と馬鹿にしつつ読書に戻る




すると、次は窓に何か固い物が当たる音がする




見ると、カラスが口で小石を咥え、窓の近くにきて当てていた。そんなことでガラスが割れることはないだろうが、傷つくのも嫌なので、窓を開け、箒で追い払った




次の日から、カラスが増えていた。玄関から出ると、電信柱に結構な数のカラスが居て、まるで私を見張っているようで気味が悪い




出かけてから帰ってくると、カラスが落としたのか、ネズミの死骸や中途半端に食われた魚の死骸などが玄関に落ちていた




それらを片付け、家に入る。2階に居ると、窓ガラスを叩くような音がする




カラスがしつこいくらいにくちばしで窓を叩いていた




毎日、毎日、カラスが常に家の周りに居て私を見張っている




どうにか追い払う事はできないだろうか? 庭を見ると、私の2歳になる娘が、カラスについばまれて死んでいた

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