第318話 車いすの子
近所の子供が交通事故で半身不随になったらしい
小学校高学年くらいの男の子らしいが、急に道に飛び出したらしく、車のブレーキが間に合わずぶつかってしまったらしい
車は大したスピードが出ておらず、即死は免れたが当たり所が丁度腰だったため、立つことが出来なくなった
元々元気いっぱいで走り回るのだ大好きだった子らしいので、ふびんである
今は母親が子供を車椅子に乗せて連れまわしているのをよく見かける
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最近、毎日の様に車椅子を押している母親を見る。最初の頃は子供も風景を楽しんだり、母親に命じて虫を追ったりと楽しそうであった
しかし、段々同じ風景に飽きてきたのか、子供の反応が鈍くなっている気がする。車いすとはいえ自由に動けないのはストレスなのだろう
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最近、車いすを押す母親がおかしい気がする。以前は毎日の様に子供を外にだしていたが、さすがに雨の日や強風の日は外に連れ出していなかった。しかし、今は雨の中でも車いすで出かけている
子供も、さすがに雨では辛いのか、フードを深くかぶって大人しく座っている
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最近、母親がやせ細って今にも倒れそうに見える
「大丈夫ですか?」
毎日見かけていたこともあり、すでに他人という気がしなくなってきたので声を掛けてみた。しかし、母親の反応はうすく、少し会釈すると車いすを押していく
俺を避けたために少し段差がある場所に車いすがつんのめり、子供が車いすから落ちた
「ああっ! 大変だ、大丈夫か?」
俺は慌てて子供を車いすに戻そうとした。子供は微動だにせず、俺が持ち上げようとするとすごく軽い
「うわっ!」
持ち上げた拍子にフードが取れると、すでに死んで大分時間が経っていると思われる子供の死体だった
「すみません」
母親は、その子を車いすに座らせると、何事も無かったように押していった
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