第317話 趣味が悪い
私の感性はおかしいとよく友達に言われる
私が惹かれる男性は、女性と付き合ったことが無く、奥手で自己主張の強くない人だ
「オタク男性が趣味なの?」とよく言われるが、別にそういう訳ではない。ただ、女性に慣れた人、なれなれしい人が苦手な結果、付き合った人たちがそういう人たちばっかりだっただけだ
「つ、付き合うのが、ぼ、ぼくでよかったんですか?」
あきらかに女性と話したことが無いような男性だった。きっかけは大学の講義をよく一人で受けていた事と、卒論の研究で遅くなった時に夜空を見上げていた姿が印象的だったからだ
予想通り、私のタイプだったのだ
しかし、付き合ってみると面白味が無く、自己主張が強くないどころか全く主張せずに全部私任せなところがめんどくさくなった
「別れましょう」
「え……わかりました。最後に、一緒に夜空を見ませんか?」
私から付き合ってと言った以上、最後の要望くらい聞いてあげようと思った
「星が良く見える場所を知っているので」
私は彼と一緒に山の中ほどにあるキャンプ場を目指した。最初からこれくらい誘う様な人だったら、別れることも無かったのにと少し残念に思ったくらいだ
キャンプ場から少し離れたところに、10mくらいの建物があり、自由に出入りする事が出来るようになっていた
その建物を二人で黙って登り、上を見上げる
「綺麗……」
町明かりが届かない場所だとこれほどまでに空は綺麗なのか。そう思って上を見上げていた時、首にひものようなものが巻き付けられた
「な、な、ぐっ?!」
細いひもは首に食い込み指が入らない
「ああ、一度は女性を殺してみたかったんだ」
まさか、殺人の趣味があったやつだったなんて……私の意識が遠のいだ
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